【アバ的利休百首 vol.22】 何にても置き付けかへる手離れは恋しき人にわかるると知れ ~間合いが大事
まるで恋人を忍ぶ和歌のような風情を感じる
一句ですね!でも、ここに茶の湯の真髄を感じます。
何にても置き付けかへる手離れは恋しき人にわかるると知れ
■一般的解釈
道具を置き、その手を離すときは恋しい人と離れる、別れるがごとく扱いなさい!ということです。道具から手を離すときは「あっさり」ではなく、「こってり」でなくてはいけないのですね!笑
でも、この考えはまさに「日本人の心」を表しています。
教本で、武芸の心得「残心」が説明に使われていますが、戦いのとき人を斬ったとしても刀をすぐ鞘に収めるのではなく、「間」を置いてから収める。剣道でも、構えた状態から数歩下がってから竹刀を収める所作がそれですね!
■アバ的解釈
「余情残心」
茶事(お茶のフルコース)をしたとき、この精神が顕著に現れます。4時間、同じ席を共にしていても別れはやってきます。そのとき、あっさり終わるのではなく、
あ~。なんてステキな席だったんだ。
まだまだ居たい。なんて名残惜しいんだ。
という名残惜しさ=余情を楽しみながら、自分の心はいつまでもここにあるかのような気持ちに浸りながら帰る。
心と体の乖離
と言ったところですかねえ?「体」はどうしても帰らなければいけないけれども、「心」だけはいつまでもここに置いておきたい。
置き付けかへる手離れ
置いて用事が済んでしまったら気が抜けてしまうものです。だから、手を話す最後の所作までちゃんと気を抜くなよ!という言いたかったのでしょうね。まさに
家に帰るまでが遠足よ!
です!笑 何事も終わった瞬間。油断禁物でございますね!
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■ 参考文献
利休道歌に学ぶ (裏千家学園公開講座PELシリーズ)
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阿部 宗正
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