【茶の湯コラム Vol.2】日本文化の総合プロデューサー 千利休が現代に生きていたら
2016.09.06
茶道は「総合芸術」です。
お茶を点てるだけがすべてではなく、その周辺には様々な要素が付帯しています。
例えば、茶碗や茶器であれば「陶芸」「漆芸」「竹工芸」などの工芸領域。さらに、床の間を演出するためには「茶花」や掛け軸である「書」。お客様へのもてなしとして「和菓子」「懐石料理」。そして、茶会を催す空間としての茶室があるので「建築」と幅広い領域にわたって展開されます。ゆえに「茶道は総合芸術」と呼ばれるのです。
もちろん、僕もまだ追究できているわけではなく研鑚の毎日です。つまり、終わりのない旅といったところでしょうか?
茶人とは「総合プロデューサー」
実は私も茶道を始めるまでは「大の歴史嫌い」でした。過去のことになど、全く以て興味を持つことができずにいましたが、茶道により過去を知ることも意味を成すことを覚えました。自分にとって必要なことになれば、「苦手も得意」になるのですから不思議なものです。
そもそも、「茶人」とは何でしょうか?
楽しく茶会を企画して、催せばいいのでしょうか?茶人とは日本文化の「総合プロデューサー」です。陶芸家や和菓子職人のように「もの」をつくることはできませんが作り出されたものを「茶会」という場を活用して演出できます。どんなに優れたものたちでも、演出がしょぼければ台無しです。
「千利休」が現代に生きていたら?
茶道界の名プロデューサーこそ「千利休」でしょう。彼を超えるプロデューサーが生まれないから、450年前のかたちを打ち破るものが生まれていないともいえます。ふと、千利休が現代に生きていたら、どんなことをしていただろうか?と考えることがあります。
「チームラボ」にお願いして、最新技術を使ったプロジェクションマッピングで床の間を演出したでしょうか?新進気鋭の建築家にお願いして、宙に浮く茶室を作ったでしょうか?こんな奇抜なことはしなかったとしても、現代を生きる中からインスピレーションを沸かせることをしたのではないでしょうか?
世界に茶道を発信することも重要ですが。現代の若者にも「茶道って、こんなものだよ?」ということを彼らの目線で伝えていきたいですね。
参考図書:私は利休
「千利休が現代に生きていたら?」という視点で描かれているマンガです。ちょっと奇抜路線ですが、個人的にはこのくらいのスタンスもありなんじゃないかな?と感じるわけで。。。笑
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