【アバ茶道具記 Vol.4】中国 南宋時代の技法を今に!かすれた感じが萌えポイント 潮桂子/釉裏紅丸壺茶入
「釉裏紅(ゆうりこう)」という技法を聞いたことがありますか?日本では「辰砂(しんしゃ)」と呼ばれることのほうが多いですね。
釉薬の赤(紅)色が裏側までじわじわと浮き出てくる様子から「釉裏紅」と呼ばれます。中国 南宋~元時代(12~13世紀)の「景徳鎮」と呼ばれる窯で作られていたもので、釉薬の魔術師 潮桂子さんが得意とする技法のひとつです。(赤大好きのアバ茶としてはたまらないです。笑)
「釉薬の魔術師」ぶりを知りたい方は、潮桂子さんの工房見学したときの様子をご覧ください!笑
【AVAな人 Vol.14】陶芸家 潮桂子 釉薬の魔術師!陶芸か?実験か?工房見学レポート
こちらの茶碗は、「モノノ怪」というアニメとのコラボ茶会のために作っていただいた釉裏紅の茶碗です。「京みやび」という銘で、金彩もされていてゴージャスです!(が、地震で落下して割れてしまったので金継ぎのため入院中。。。)
【レポート】 アニメとコラボ「モノノ怪茶会」 ~萌え系女子たちと楽しいお茶タイム!笑
そして、こちらは今回紹介する「釉裏紅丸壺茶入」と同時に購入したものです。「京みやび」のぱっきりとした「赤」と比べて、赤と紫のゆらぎのあるかすれた感じがなんとも味わい深いのです。昔は、安定した火力を供給できる「電気窯」や「ガス窯」はなかったので、こういうある意味不安定な表情が多かったのでは?という想いから、少しずつ表情が変化してきています。
アバ茶好み「釉裏紅丸壺茶入」
先ほどの茶碗は「ボール」として売られていましたが、見立てで「平茶碗」として使っています。この「茶入」も「丸壺」だったのですが牙蓋を付けたら茶入になりそうだったので早速探しに!
京都に中古の茶入の蓋を扱っているお店があります。牙蓋のない茶入を持っていき、ジャストサイズが見つかったらラッキー!なのですが、
なんと、奇跡的にぴったりなのを発見。(実はこのとき「3つ」蓋を探している茶入を持って行ったのですが全部ドンピシャのものを発見!店主も「そんなことほとんだあらしませんねん。お客さん、ついてまっせ!」という反応。笑)
さらに、自分の袴の裂地を使って仕覆も作りました。(木綿の生地で名前が分からないので勝手に「近藤間道」と名付けてます。)さらに、さらに!
単純な桐箱に入れるのは嫌だなあということで、挽師の河村寿昌さんに特注で作っていただきました!ここまで揃うと立派な茶入!!でも、昔の人はみんなこうやって自分の感性で楽しんでいたのではないでしょうかね!
アバ茶道具記 Vol.4 釉裏紅丸壺茶入
作家名:潮桂子(京都)
作品名:釉裏紅丸壺茶入
制作年:2016年
アバ茶道具記とは、「山上宗二記」や「大正名器鑑」などの名物茶道具について書かれた書物と同じように、アバンギャルド茶会好み「通称:アバ茶好み」の現代モダン茶道具について記した「茶道具記」です