【講演録】日本文化を愛でる会「応仁の乱と茶の湯」 ~日本文化の鎖国化がはじまっている!?
食品学者 松本栄文さんが主催されている「日本文化を愛でる会」。
タイトルだけを聞くと「おやっ!?」と思ってしまいそうですが、とてもマジメな勉強会です。笑 そもそも、日本人が日本の食文化のことを知らなさ過ぎるという危機感から少しでも多くの方に「本当の日本料理」について知って欲しいという思いからはじめられた勉強会です。
でも、その「日本料理」を知るためには、もっと「日本文化」のことを知らなければいけない。僕自身は「茶道」を切り口に、少しでも多くの方に「日本文化」を知って欲しいという思いで「アバンギャルド茶会」を主宰しているので共通点も多いと思っています。
応仁の乱と聞いて思いつくことは?
研究会は東京だけではなく、横浜、京都などでも開催されています。その土地、土地にあわせてテーマや話し方まで変えているそうです。今回の東京研究会は「応仁の乱と茶の湯」という、なんとも壮大なテーマ。しかし、ここにも松本さんの想いがつまっている。そもそも、東京の人は「応仁の乱」と聞いてもピンとこない。(ちなみに、京都の方に「戦争」という問いをすると「応仁の乱」をさすそうです。)だけれども、日本文化は「応仁の乱」の前後で大きな転換期を迎えたと松本さんは言います。
だから、日本文化を理解する上で「応仁の乱」がなんであるか!ということを理解しなければ、本質をつかむことはできない。が、あまりにも話しが深すぎるので、是非松本さんの講演を聴いて理解を深めて頂きたい。笑
※応仁の乱:室町時代の1467年~1477年まで10年間にも及ぶ内乱(詳細を書いたらきりがなくなるので割愛。)
日本文化の鎖国化
今回の講演で一番印象的だったのが、「日本文化の鎖国化」というメッセージです。東日本大震災をきっかけに「西洋文化」から「日本文化」へ回帰する流れが顕著なのだそうです。これは、僕自身もとても強く感じます。2011年を契機に「茶道」をはじめとする「日本文化」に触れたいと感じたり、口にされる方が回りに増えたように感じます。つまり、原点回帰しているということののでしょうが、松本さんは「日本文化の鎖国化」という表現をされていました。
その中でも「お菓子」と「飲料」の味覚の捉え方が変わってきている。そもそも、日本人の「お菓子」の原点は「果物」。つまり、長い歴史の中で遺伝子的には砂糖ではなく「自然の甘み」で十分だった。にもかかわらず、終戦から高度経済成長の流れにのってチョコレートやキャンディーなどが豊かさの少々となり、大量摂取をしてきました。しかし、最近
このケーキ「甘すぎなくて」おいしい
という日本人にしか理解できない概念が生まれているそうです。確かに、ケーキなどの西洋菓子は甘くてなんぼですから。。。笑 さらに、飲み物も10年くらい前は「コーラ」や「サイダー」など甘い飲み物を口にする人が多かったのに、最近では机の上などを見渡すと「水」や「お茶」が主流になったと思いませんか?
改めて言われてみると、こういう現象が起きていることに気づかされます。でも、これらの現象をこうやって体系立てて考えられるのは、食文化を中心に日本文化を研究されている松本さんだからこその視点です。日本人として、もっと日本文化のことを知りたい!と思っている方は、是非一度「日本文化を愛でる会」に参加してみてはいかがでしょうか?あわせて、松本さんの著書も平易な言葉で日本文化の真髄を語っていますのでオススメです。
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脈々と受け継がれてきた「日本料理」の系譜をこれでもか!と受け取ることのできる一冊。
日本文化を愛でる会 概要
http://matsumoto-sakafumi.jp/mederu.html
東京研究会 2月講座【応仁の乱と茶の湯】概要
http://watav.com/event/detail/81330