【茶の湯コラム Vol.6】その「茶道具」に愛はあるか?
2016.10.19
「NHK プロフェッショナル 仕事の流儀」でファッションデザイナー 皆川明さんが紹介されていた。
ユニクロやH&Mなど「ファストファッション」全盛の時代にあって、流行は追いかけない。長く着てもらえる服をつくる世界観に共感を覚える。皆川さんの服には「愛」がある。彼の才能を見出したバイヤーは言う。「作為を超える」ことが皆川さんの求める美しさなのだ。
その「茶道具」に愛はあるか?
先日、そんな問いを投げかけられた。
天目茶碗や楽茶碗には完品が多いのに、井戸茶碗や高麗茶碗には完品が少ない。これらの茶碗は「雑器」と言われていたから、先人たちの「愛」が足りなかったのだろうか?
古くて骨董価値が高いからと言って、惹かれるわけではない。作り手の想いが茶碗からにじみ出ているようなものであれば、新作だろうと安かろうとそれは自分にとって価値がある一品になる。
つまり、その茶道具から「愛」を感じることができれば自分には価値があると思えるのだ。