【AVAな人 Vol.16】 陶芸家「沼野秀章」作陶への想いが変わった瞬間(宇宙十職「水星」担当)
陶芸家 沼野 秀章
略歴
1997 文化学院芸術専門学校陶磁科卒
1997 茨城県窯業指導所釉薬科にて研修
1999 駒澤博司氏に師事
2001 茨城県岩間町押辺に築窯
2006 茨城県笠間市金井に移築
宇宙十職「イオ」担当の庄司千晶さんからご紹介頂き、宇宙十職「水星」担当として参加していただきました。4月2日の宇宙十職「お披露目式」の当日までメールと電話でやりとりしながらのプロジェクト進行。
実は、初めて「電話」でお話したのが震災直後。
すみません。地震で窯がダメになっちゃいました!?
地震のときにちょうど焼いていて。。。でも!絶対の本番までに焼き上げますので、待っていただけますか?
こんな内容だったと思います。
(なぜか、悲壮感はまったくなく不自然なくらいに前向きな声だったのが印象的だったのですが、こちらの真相については後半で!)
おそらく、地震で窯を焚ける状況ではなかったはずです。(事実、工房に伺って現実を目にしたときに、この中で作ってくださったのだ!という感動を感じずにはいられませんでした。)
それでも、すぐに電話をくださり、絶対に焼きますから!なんて言われたらお披露目式はどんなことがあってもやらなければ!という勇気を頂きました。
宇宙十職「お披露目式」の翌日に益子・笠間の陶芸家を訪ねる旅をしてきました。もちろん沼野さんのところにも行ってきました!前日、初めて会ったにも関わらず、昔からの知り合いを招くような心で歓迎してくださり、ずっと前からお互いを知っていたかのように話し込んでしまいました。
こちらが地震のときに焚いていた窯です。
地震直後、屋根から瓦が落ちてくる状況。灯油窯だから火でも噴いたら大変なことになるとヒヤヒヤされていたそうです。煙突が折れてしまったようで以前とはちょっと違う姿になってしまったそうです。。。。
そして、こちらがメインの窯!
こちらも中が大変なことになり、ようやく先日復旧されたそうです。
茶人としてできること。
前日にも、お茶一服差し上げてにも関わらず、持ち合わせていた道具で
「一服如何ですか?」
と尋ねたところ、すっごく喜んでくださいました。
今までお茶をしていて、こんなうれしかったことがあったかなあ?
そして、お茶をやっていて本当によかったなあ!と思える瞬間でした。
キレイな奥様にも一服!お茶の最中、しきりに
本当に昨日は楽しかった!基本、出不精なんですけどやっぱり外に出て行かないとダメですね。本当に楽しかったです。
と満面の笑みで言ってくださり、茶人冥利に尽きます。
でも、それ以上に印象的だったのが沼野さんの今現在、陶芸に対する想いでした。
「地震後のほうが何だか前向きに作品を作れるようになったんです」
という一言。普通、逆ですよね。
作業環境は大きなダメージを受け、わが子同然の作品たちが割れてしまい。。。
実際、沼野さんも地震後、1週間は作品を置いてあった部屋に入る気がしなかったと言います。凹んで、もう一度作るぞ!って気力をわかせるだけでもひと苦労なはずなのに。。。
この姿勢に沼野さんのお人柄が出ているなあ!偉そうですが感じてしまいました。
実はこの想い、作品にも注入されている!と感じたのは今回の宇宙茶碗(水星)を手にした瞬間です。(沼野さんに会う前です!)
沼野さん自身はすごく気にされていました。派手さはありませんが、手に取ったときに何とも言えないオーラを感じずにはいられませんでした。(まさに侘び寂びの境地?)
作りたい!!!
というパワーに満ち溢れた感じと表現すればいいのでしょうか?これは手にした人にしかわからない感覚だと思います。だから、あえて写真は載せません。是非、一度手に取ってみてください!