【アバ的利休百首 vol.9】 点前こそ薄茶にあれと聞くものを麁相(そそう)になせし人はあやまり ~初心忘するべからず!基本は全てに通ずる!!
ついに実践編に突入!
その教えの中からも学ぶことは多いのです!
点前こそ薄茶にあれと聞くものを麁相(そそう)になせし人はあやまり
■一般的解釈
本来の茶会(正確には「茶事」)は4時間にも及ぶ一大行事です。
「懐石料理」を食べた後に、メインディッシュの「濃茶」。締めの「薄茶」と
続いていきます。お茶のフルコースです。
メインディッシュの「濃茶」をどんなに素晴らしいものにしても「ほっ」として
気を緩めて「薄茶」をないがしろにしてしまったら全てが台無しということですね。
終わりよければ全てよし!
ってことです。
■アバ的解釈
「茶事」の説明をするとき、少しでも分かりやすくするために
『お茶のフルコース』
なんですよ!お腹がちょっと満たされる程度のお食事とお酒で同じ席に
集まった皆様と交流を深める。いよいよメインディッシュである、とろっとした
濃茶というお茶をみんなで飲みまわします。ある種の神聖な儀式のようであり、
そして本当にうまく練られたお茶は食後の最強アイテム!(コーヒーでいうところ
のエスプレッソ?)
パンチの効いた「濃茶」を飲んだ後は、さらりと締めのデザート「薄茶」です。
「薄茶」は皆さんが一般的に考えているお抹茶です!すっごくおいしいお魚と
お肉を食べて、気分は最高!でも、最後に出てきたデザートがまずかったら、
女子的には
「ありえな~い」
ですよね。笑 そういう意味でも最後に出てくる「薄茶」は会全体を決めて
しまうくらい重要な役割を持っています。
自分の大好きな洋服屋さんでお気に入りの店員さんに接客を受けて、気分上々の
ままレジへ!でも、レジを子が超適当だったら一瞬にして買う気が失せますよね?
それは、接客だけではなく営業でも同じことが言えますよね?最後に売り急いで
売る気満々!を前面に出したら
「化けの皮はがれたな!」
なんて思われちゃいますよね。笑 ということで何事も最後まで油断禁物でございます。
個人的に、この句大好きです。もうひとつの解釈として
『初心忘するべからず』
というメッセージです。
茶道において「薄茶」とは一番初めに接するお点前です。慣れてくれば決して難しいことは
ないのですが、この所作の中には全ての基本要素が凝縮されています。私も茶道を始めた頃、
先生に
「薄茶は全ての基本です。
先に進みたいという気持ちはあるかもしれません。
でも、大事にひとつずつやりましょう!一生の財産になります。」
と言われたのを今でも覚えています。茶道に限らず、先に行けば行くほど、はじめについた
「クセ」を直すのは難しくなります。だから、初期の段階でどれだけ正確な「型」を身に付け
られるかが勝負です。
仕事でもそうですよね?はじめに遅刻ばかりする働き方を覚えてしまった人に
「遅刻しないように来なさい!」
といくら言ってもそう簡単には直らないですよね?全ての基本が詰まった「薄茶」。
簡単だからといってなおざりにするのではなく、今後に全て通ずる道だと思ってやる。
そんなことを改めて思い起こさせてくれるイイ一句ですね!
≪ バックナンバー ≫
■ 参考文献
淡交社
売り上げランキング: 147549